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泉美木蘭
2016.7.29 08:18

商品配達のサービス競争が過酷すぎる

ドミノピザが、注文したピザの移動状況をGPSで地図表示し、
リアルタイムにスマホで確認できるというCMをやってるけど、すごいな。
そんな高い時給がもらえるわけでもないのに、市場競争のために「監視」
を売りにしてまで働かされるバイトの人がとても気の毒だ。
スマホで配達員を監視するという優越感から、横柄さの肥大化する客も
出現しそうだし、そのとばっちりを受けるのもまた配達員なんじゃないかと
想像してしまう。

昨今の「商品配達」のサービス競争は「Amazon」に引きずられすぎて、
あまりに過酷すぎるんじゃないかと思う。
先日、体重計が故障して、新しいものを買うことにしたのだけど、
近所の小さな電気店には高価なものしか置いておらず、帰ってきた。
ネットで検索したところ、希望の商品が「Amazon」と「ヨドバシカメラ」にあり、
どちらも同じ価格で自宅まで配達してもらえるとわかった。
「Amazon」よりは、「ヨドバシカメラ」にお金を落としたい。
電車で新宿のヨドバシまで出て、体重計持って帰ってくるのもしんどいなと
思ったので、ヨドバシのネット注文を利用した。
しかし、そのあとが驚いた。

注文して、クレジットカードで決済し終えると、ものの2時間で
「出荷開始」のメールが届いた。「本日20:05ごろにお届け予定」、と。
そして、本当に20時前にインターホンが鳴って、
ヨドバシカメラのワッペンをつけた人から、梱包された段ボールを受け取る。
(こんな早く届くの!?)
驚きを隠せないまま、鍵をしめ、段ボールを開けようかな……と、
手をかけたところで、またメールが。「19:55に配達完了しました」。

ま、まじめすぎる! そこまで緻密にやらなくても。
しかし、「Amazon」の配達サービスの速さと安さに対抗するには、
ここまでやるしか道がないのだろう。配達の人は、ヨドバシカメラの制服
だったから、自社で配送・配達の仕組みを作ってやりくりしているわけだ。
すごい企業努力だなと思った。

そして、重要なことだけど・・・
私がこの買い物に支払った金額は、配達料金込みで、894円である。
そんな安い体重計買ったのかと思われるのは恥ずかしいんだけど、
ここまでやってもらって、たったの894円とは、どういうことなのか?
体重計の原価がそんなに安くなっているというのも驚くけど、
ヨドバシカメラにしたって、どれだけの利益があるのか?
いや、利益をあげるためのしわ寄せが、どこに押し込まれていくのか?
この「サービス込み、低価格配達競争」。
りゃ、商店街の個店は潰れるよね・・・。
アマゾンにふりまわされていく自由競争の世界、深刻すぎる。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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